
木屋正酒造
1818年、奈良・京都から伊勢神宮へと続く
初瀬街道沿いに、木屋正酒造は創業しました。
その先祖は江戸時代初期、藤堂家について
今治からこの地に
移り住んだと伝えられています。
もとは材木商であったことから
木屋正きやしょうの屋号をもつ酒蔵です。
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精神
Spirit
「過去にも囚われず、未来にも囚われず、今をただ精一杯に生きる」―「而今(じこん)」とは、曹洞宗の開祖・道元禅師が唱えた禅の言葉です。
但馬杜氏のもと二年間の酒造りを経たのちに、6代目が自ら杜氏として醸したお酒を「而今」と命名しました。但馬杜氏のもとで二年間にわたり酒造りを学んだのち、六代目蔵元が自ら杜氏として初めて醸した酒に、この名を冠しました。以来十余年、この精神のもと、粛々と酒を醸し続けています。
「而今」の精神には、有為無常を受け入れ、美を見出してきた日本の美意識が脈々と息づいていると、私たちは信じています。
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歴史伝統
History & Tradition
木屋正酒造がある名張は、宿場町の面影が残る町。
国の登録文化財・名張藤堂家邸跡など、歴史ある建物が今も点在します。
能楽を大成させた観阿弥は、名張市小波田に初めて猿楽座(後の観世座)を開き、やがて足利義満の庇護のもと「能楽」として京で開花し、伝統芸能の一つの頂点となりました。名張は能楽発祥の地とされます。
また、木屋正酒造の敷地内には江戸時代、「栄寿堂」という寺子屋があり、地域で最も早く開かれた教育の場として、子どもたちに学問のほか譜や踊りも教え、能文化の担い手として重要な役割を果たしていたと伝えられています。
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自然風土
Blessed climate
伊賀盆地は、かつて古琵琶湖の湖底であったとされ、植物が腐食し堆積した肥沃な土壌に恵まれた土地。紀伊山地からの伏流水が湧き出る名張川が流れ、山麓には清らかな水が満ちています。
この豊かな土と水が育むのが、味・香り・粘りの三拍子が揃う酒米「伊賀米」。
伊賀の自然は、良質な水を生み、寒暖差のある独特な気候の中で酒を育みます。この地に息づく自然すべてが、酒づくりの源となっています。
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人
People
而今を信じて待っていてくれる人、大切に飲んでくれる人の顔を思い浮かべながら、ただひたすら実直に酒造りに向き合う。
共に酒造りを司る仲間、最高の状態で酒を届けてくれる酒販店との信頼。ひとりひとりと丁寧に紡いできた関係性の上に木屋正酒造の酒はあると考えております。
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酒造り
Sake Brewing
麹菌と酵母の微生物を育むことでよい酒ができあがる。人間が作っているようで、人の手でできることは、環境を整え酒を作り出す微生物の世話をすること。
日本酒文化を脈々と繋ぐ伝統を重んじながらも、最新の技術で醸す酒の礎には、伝統と革新、人と自然の関係を常に思う、木屋正酒造の哲学があります。
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後世へ繋ぐ
Connecting to the future
日本の酒文化は新しい章を迎えるべく、自然との調和・共存へと再び目を向けています。自然を制御するのではなく、風土と疎通し寄り添うことで、人と自然の交わりを、より洗練された営みへと昇華させる。
國酒である日本酒は、長い歴史に裏打ちされた誇るべき文化です。単なる加工産業ではなく、地域性を凝縮させる伝統産業として、真摯によい酒造りに勤しむことで、営みの尊さを現代に示し、次世代に繋げていきたいと考えています。